春・エロス

指先までしびれる寒気の中凛と佇む梅の木。
か細い枝先が真っ赤に色づいて。
臼紅の固く小さな蕾がはちきれんばかりに膨らんで。
触れると甘い液体がこぼれだしそうな。

これは一瞬のはかなさ、美しさ。
一秒後に視線を傾けたときには、
固い殻を突き破り、そっと恥じらいの花を開かせる。
指先までとろける歓喜の中次から次へと開花させる梅の木。

なーんて、生臭坊主になりきってみた。
梅園を作った人は、相当な助平に間違いない。

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二週間前、竜安寺に行ったとき、ふと思い浮かんだ一節。
カメラ片手に春の息吹を探しに行きたいです。
花粉症さえなければなあ。